今更ながらブロックチェーンとP2P




随分と久しぶりの投稿になりました.Long time to see world.
前回のメイン投稿は10月なんですね.(一応11月末に生存報告してた笑)

大学の後期は授業が入りすぎてて,ブログ書いてる余裕はほぼなかったです.

そして,授業の期末試験とほぼ同時期にSIGGRAPHの〆切が迫り,それを乗り切るとまた授業の〆切が迫り…
そんなこんなで,年も明け1ヶ月も経ってしまったわけです.

久しぶりの投稿なので,近況報告でもしたかったのですが,そんなことより世の中にある面白いものにのめり込んでいました.
ブロックチェーンのことです(今更).

今日はそのことについて書いていきます.
学び方ロードマップとは銘打ったものの,僕がサーベイしてきた経緯と興味を持ったこと,そして今後について思うところを書くのみです.
既に十分な知識を持った人にとっては不十分な内容に感じるかもしれませんが,エンジニアリングや研究の環境にいない人にとっては多少新規の情報が入っていればと思います.

目次

  1. きっかけ
  2. どういう流れで勉強したのか
  3. 惹かれた内容の深堀り
    • P2Pの話
    • 自由貨幣の話(時間とともに価値が減衰する)
    • どういうところに使われやすいのか(公共性)
  4. 今後に何を思うか
    • 研究者を含め,アカデミックとの関わりはどうなっていくのか
    • どこがイニシアチブを取るのか
  5. 最後に

きっかけ

そもそもなんでブロックチェーンに興味を持ったんだ,ってことですよね,まずは.
VALUにハマっていた時期もありますし,2017年の夏から仮想通貨周りの話はそこそこに追ってきました.
しかし,それはあくまで投機目線だったり値動きへの気配りということがメインで,技術的なところに目を向けていませんでした.

そんな中,2018年に入ってからBitcoinの価格の暴落があったりもしましたし,ゆるゆると見るだけでいいかなぁ,と思っていたわけですが,とあるイベントで認識を改めなければいけないと感じたのです.
イベント自体の内容は今回の話の本質ではないので省略しますが,そのイベントの場にブロックチェーン関連の事業に携わる人(同世代前後)が予想以上に多くいたのです.

正直こんなにブロックチェーン関連事業をやる人が同世代に多いとは思っていなかったのです.
この状況を前にして,1つ当然の疑問が頭をもたげます.

「何がこんなにみんなを魅了するのか」

さらに,その中の1人はHyperledger Fabricを用いたシステム構築に携わる人間でした.
仮想通貨以外にブロックチェーンを利用できることは知っていましたが,その技術を利用したシステム開発をやっている人間が身近にいるとは毛ほども思っていませんでした.

そういったこともあり,一体ブロックチェーンの何がみんなをこれほどまでに魅了するのか調べてみようと思い立ち,1,2週間をそればかりに費やすことになったのです.

どういう流れで勉強したのか

ブロックチェーンとは何か,ということはざっくりとだけは2017年の間に調べていました.
ブロックチェーンとは何かを知りたい人は,「ブロックチェーン 仕組み」とかでググってください.今更説明するまでもなく大量の情報がネットに転がっています.

その状況で僕が手に取った一冊は『信用の新世紀 ブロックチェーン後の未来』(斉藤賢爾)という本でした.

たまたまfacebookのある程度信頼のある誰かのポストで「これさえ読んどけば大丈夫」という触れ込みを見ていたのがきっかけです.

これが個人的にはかなり読み応えがあって,2周がっつり読みました.

(この本に関する深堀りは別の記事で別途行いたいと思います.)

これによってブロックチェーンに関して色々と学ぶことができたわけですが,一方でもう1つ重要に感じたかつ懐かしさを覚えた技術がありました.

それはP2Pです.

僕が中学生だった頃,違法アップロード・ダウンロードに関して様々なことが起きていた頃だったと思います.
その中でも「トレント」というものがよくワードとして出てきていて,BitTorrentなどが潮流のど真ん中にあった気がします.
その「トレント」システムの中核を担っていたのがP2Pなわけです.
懐かしさを禁じ得ませんね…
(P2Pの深堀りは後ほど行います)

P2Pの話をある程度きちんと理解すると,ブロックチェーンも単なる分散システムの1つの形に過ぎないのだと落ち着いて見ることができます.

そうすると次に,分散システムとはという話になってくるわけです.
キーワードとして「分散システム」を片手にネットの海に潜ってみると少しは情報が出てきます.

また大学の図書館に行って,「分散システム」と名のつく分厚い本を手にとってみたりするわけです.
ここで感じ・気づかされることがありました.

これは1つの専門領域であって,片手間に手を動かして理解できる範囲を明らかに超えている.

ここで完全に,ブロックチェーンに関してはある程度のところで興味の打ち止めにすることに決めました.
分散システムとしてのブロックチェーン技術の評価や,実際にシステムとして組むときにどういう細かな問題があって,という話はこの領域で完全にやっていくと決めた人間でない限り,安易に踏み込むと時間が座れる予感しかなかったのです.

惹かれた内容の深堀り

さて,そんな感じで,興味の推移まで書きましたが,その中でも特に興味を持って調べた内容は,備忘録の意味も含めてここに書いておこうと思います.

P2Pの話

P2Pの話を直近で聞いていたのは,マストドンが話題になった頃のことだったと思います.
特に記憶に残っていたのは,落合さんのとあるツイートでした.

この時Winnyについてもしかしたら初めてググったわけで,その時に金子勇さんという研究者・エンジニアのことを知りました.

そしてそれ越しの,半年越しのP2Pサーベイ.
Winny自体,ちゃんと知らなかったし,P2Pもここで改めて勉強したのです.

その中で最も勉強になったのはこの記事でした.

「Winnyの技術」をもとに当時の到達点を明らかにする

これを読めば,Winnyで金子氏がやりたかったことや当時の到達点などが明確にわかります.
その上で,一度そもそも論に立ち返るべきでもあると僕は考えます.
それは,「Winnyは何を実現したかったのか」という問いです.

このシンプルな問いを考えることは非常に重要と思います.
例えば先に紹介した『信用の新世紀 ブロックチェーン後の未来』(斉藤賢爾)の中で斎藤先生はビットコインの問いをこのように立てています.

「自分が持っているお金を,いつでも自分の好きに使うことを誰にも止めさせないようにするには?」(中央銀行マネーへの不信)

また,P2Pとは「中央にサーバを置かずに,ピアーとピアー(Peer-to-Peer)で通信する」という意味です.

そのことを踏まえて,Winnyでは何が問いとしてセットされていたかを考えてみると,おそらく

「世界の情報(データ)にアクセス/取得することを,誰かに邪魔されないようにするには?」

ということではないでしょうか.

そして,こうしたシンプルな問いを立てて,それに適切なソリューションを見つけることが非常に重要と思いますし,ブロックチェーン技術を使う場合において,それは常に吟味されるべきものだと考えています.

自由貨幣の話(時間とともに価値が減衰する)

次に興味を持った話は,『信用の新世紀 ブロックチェーン後の未来』(斉藤賢爾)の中で出てきた自由貨幣という概念です.

これはシルビオ・ゲゼルが提唱した通貨制度のことで,時間とともに徐々に貨幣価値が下がる通貨のことです.

今の感覚で考えると驚きの話です.
なぜなら,お金をただ持ってるだけでは価値がどんどんなくなっていって使い物にならないわけなのです.

つい先日斎藤先生があげてたスライドの中にも出てくるので,載せておきます.

インフレと効果としては実質一緒じゃんか,と思う人もいるでしょう.
ただ,重要なのは仮想通貨やトークンにその性質を持たせることができるということであり,そのカスタマイズ性なのです.

つまり今までは中央政府のみが通貨制度を設定できていたものが,仮想通貨においてはコミュニティごとに誰でもルールを作ることができるというわけなのです.
ある意味実力主義的な世界観になっていきはしますが,しかしこれは民主化の意味では非常に面白いし,自分にもそのチャンスがあるのではないかと考えるとワクワクするものです.

どういうところに使われやすいのか(公共性)

これは色々事例見たり考えたりしてる中で,公共性のあるところから導入しやすいだろうなぁ,と思ったという話です.

ぶっちゃけ何を考えたか詳細をあまり覚えていないので,割愛したいと思います.

今後に何を思うか

ここからは自分なりの未来に対する世界観を考えたりする内容です.

僕としてはアプリケーション等を考える中で,実はこの記事に出てくるとある画像が一番の衝撃であり,核心に思えています.

富むプロトコル、貧するアプリケーション

今現在はアプリケーションレイヤーがめちゃくちゃ肥大な時代です.
Google, Facebook, Amazonなど,それぞれのサービスは莫大で,各アカウントが1つずつ必要なわけです.

しかし,本来的に一人の人間に対しては1アカウントです.
ブロックチェーンの世界観では,それが近似的に実現されるのではないか,と僕は考えます.

プロトコルレイヤーがこれだけ肥大になって,1人間1アカウントが実現されれば,その人にひもづくデータはその人の管理下において,いつでもアクセスできる状態になります.
そうなると,例えば最適化されたニュースの提供にしてもなんにしても,アプリケーションレイヤーの実装は軽くなるはずです.
わざわざプラットフォームサービスを作ってデータを蓄積しなくても,いつでも使えるデータがブロックチェーン上に乗っているからです.

さらに,この考えはおそらくゲーム分野で考えると想像がしやすいです.
ゲーミングPCにしろ,PS4にしろ,Switchにしろ,今のゲームハードはなかなかにハード性能の高いものが多くなっています.

これはP2Pを担うノードとして期待が大きくなるのではないでしょうか.
昔を振り返ってみても,モンハンのローカル通信をベースにした共同プレイはP2Pとも言えるわけですし.

そうなった時に,一人一人がそれなりのハードを持って,そこにベースとなる大きめなプロトコルが入っていて,後は薄いアプリケーションを様々に持つだけ,という世界観はあながち間違っていないように思うわけです.

これがざっくりとした未来に対する外観で,それ以外にもっと具体的なところで気になっているところを2点記しておきます.

研究者を含め,アカデミックとの関わりはどうなっていくのか

ブロックチェーン適用範囲に関して,公共性の重要さを感じていることとあいまって,アカデミック領域に関しても期待できるのではないか,というのが個人的な思いです.

トークン発行で実現することとの1つとして,寄付のオープンソース化を考えることができます.
そのトークンをもっとくことに意味がある,みたいな.

基礎研究など,応用レイヤーではない研究の多くは,資金調達が常に問題として存在します.
しかし,未来からすればそうした研究の中に真に価値のあるものは存在しているはずなのです.

もちろん,それを研究者が世の中にうまく伝えて資金を引っ張ってくることは現状でも可能かもしれないし,国という組織がどれだけうまく舵を取れるかという問題でもあるかもしれませんが,ICOを含めトークン発行などによる資金調達も今後は1つのソリューションとなってくるはずです.

もちろん,仮想通貨がもっとベーシックな存在になり,経済圏がきちんと出来上がることが重要だとは思いますが.

どこがイニシアチブを取るのか

これが実は最も重要かもしれないと僕が思っていることです.
起業家の人とかは,世の中のシステムを一新しうるこのブロックチェーン技術に魅力を感じ,どうやったらこの技術で世界を変えられるか,一心不乱に考えることでしょう.

そして,ロジカルには面白いものをたくさん皆考えると思います.
でも,おそらくほとんどは十分に実現することができません.

なぜなら技術者をちゃんと囲えていないから

です.

上述の通り,ブロックチェーンをガチでやるには,分散システムとか暗号処理とかそういった専門性のある技術領域を習得している必要があります.
しかし,アプリケーションレイヤーがもてはやされたここ10年で,その領域にどれだけのエンジニアが入り込んでいるでしょうか.
そこまで数はいないはずです.

そんな中,単なるビジネスマン的起業家が十分なエンジニアを確保する確率はめちゃくちゃ低いはずです.

一方,エンジニアにとっては今がこの領域のファーストペンギン的存在になれる最後のチャンスかもしれません.

また,世界を見回してみた時に,どのアカデミックがちゃんと論文を出してくるのか,というところはあります.

Google Scholarで検索してみるとコーネル大学とかが出てきたりしますね.

また最近ですと,Ripple社の研究者がarXivにRippleにおける技術に関する論文を投稿していました.

もしかすると,いや多分こっちが本命ですが,資本をがっつり入れたエンジニアフォーラムがアカデミックよりも先に発達していって,そこが研究者・エンジニア養成のメインストリームになる気がします.

そこを見据えて,ちゃんと釘を打ち込んでいける起業家の人であれば,この領域での成功も考えられるのではないでしょうか.

最後に

ブロックチェーンはめちゃくちゃ面白いです.
プロトコルレイヤーが肥大化して,アプリケーションレイヤーが薄くなる話とか最高に未来感があります.

ただ,こういった未来を考える時に少なからず,過去とのアナロジーを見つけておきたいとも思うのです.
確かに,現在との比較で考えると穴に陥ってしまうかもしれませんが,今と全く違う昔の社会との接合点は必ずどこかにあるはずです.

それをうまいことやりのけて,未来を見る目をちゃんと肥やすことができれば,今後もっと面白い世の中を見据えられる気がしてならないのです.




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です